
昨年、義兄が亡くなる1ヶ月半前に「わしはもう長くない、71歳まで生きて満足すべき」と言われたとき、返す言葉はなく「頻繁にお顔を見に来ます」と答えました。また、亡くなる5日前に「健康が回復したらまたお話ししましょう」と無責任な回答をしました。そのときの適切な回答は私には現在もわかりません。
先日の記事、「医療介護従事者が知っておくべき『逆転移』とは?」に寄せられたコメントです。これは家族間での会話ですので、転移(トランスファランス)や逆転移(カウンタートランスファレンス)ではありません。でも、もしこれが医療介護従事者とクライエント(患者さん、利用者さん、ご家族)の間で起こった会話だとしたら、逆転移のわかりやすい例です。
「私はもう長くない」と言った患者さんに対して、セラピストが「来週またお会いしましょう」とか「そんなこと言わないでください」と反応したとします。このときのセラピストはどのような心境でしょうか?
私もこのような状況に遭遇したことが何度もあります。「患者さんにまだ死んで欲しくない」「悲しいからまだお別れを言いたくない」という気持から、「もう長くはない」と言った患者さんに「来週また会いましょう」と言ってしまったことがあります。
これは、主観的な逆転移(Subjective Counteretransference)と呼ばれるもので、無意識に患者さんのニーズよりも自分の気持ちに対応している例です。
もし、私が自分の気持ちに気づいたとしたら、「来週また会いましょう」の代わりに、「もう長くないと感じているのですね」と患者さんの気持ちを反映し(reflect)、共感(validate)につながる言葉をかけたでしょう。
逆転移を考える上で何よりも大切なのは、自分の気持ちに気づくことです。セルフ・アウェアネス(自己認識)を高めることは、セラピストにとって一生の課題だと思います。
さて、先日の記事で一点お話しするのを忘れていたことがあります。意識、潜在意識、無意識の違いについてです。
意識、潜在意識、無意識とは?
意識とは、今気づいている自分の思考、記憶、感情。潜在意識は水面下にあり、ふとしたきっかけで気づくことができる。無意識とは、気づいていない思考、記憶、感情を指します。私たちが今気づいていることは、精神(Mind)のほんの一部に過ぎないということがわかると思います。
逆転移に気づくのが難しい理由は、「無意識」で起こっていることだからです。
皆さんはどのような逆転移を経験したことがありますか?
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