「緩和ケア」とは、そもそも何でしょうか?
WHO(世界保健聞機関)は緩和ケアをこのように定義しています。
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、 心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を改善するアプローチである。
緩和ケアはホスピスケアとは違って、余命に関係なく提供されます。実際、がんの早期から緩和ケアを受けることができます。しかし、それを知っている人は少ないです。日本緩和医療学会が平成22年度に行った調査によると、がんの早期から緩和ケアが受けられることを認識している人は約38%でした。
「緩和ケア」=「死」というイメージが強いのでしょう。
また、緩和ケアの対象は患者さんだけではなく、家族も含まれます。これもあまり知られていないことだと思います。
国内では、緩和ケア(Palliative Care)、ホスピス(Hospice)、エンド・オブ・ライフ・ケア (End-of-Life Care)などの言葉が正しく理解されていなかったり、混乱を招いたりしています。
このような言葉は欧米から入ってきたもので、その国ではしっかり定義されています。でも、日本に入ってくると、言葉の意味がなぜかあやふやになってしまう…。
奇妙なことに、音楽療法に関しても同じことが言えます。定義がはっきりしていないため、誤解されてしまい、正しい知識が広まらないのです。
あいまいなのは日本文化の特徴で、悪いことだけではありません。ただ、言葉の定義がはっきりしていないと、混乱を招くことになり、新しい考えがなかなか普及していかないのも事実です。
その点が、日本における緩和ケアやホスピスケアの難しい点のひとつだと思います。詳しくは、「ホスピスと緩和ケアの違いと共通点―アメリカと日本での経験から」をご覧ください。
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