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音楽療法日記|グリーフサポートと終末期ケア|佐藤由美子

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Home » 音楽療法について » なぜ、日本の高齢者施設は「音楽療法」ではなく「音楽レクリエーション」を求めるのか?

なぜ、日本の高齢者施設は「音楽療法」ではなく「音楽レクリエーション」を求めるのか?

先日の記事では、「音楽療法」と「音楽レク」の違いについて書きました。国内の高齢者施設で活動している多くの音楽療法士たちは、「音楽療法をしているつもりが、音楽レクリエーションになってしまっている……」という悩みを抱えています。

「大人数のグループだと、クライエント(対象者)に何が起こっているかわからない」

と彼女たち(彼ら)は言います。

中には、小さいグループでセッションができないか施設側に相談した人もいます。例えば、45人のグループセッションを90分行う代わりに、参加者を3つのグループに分け、セッションを30分ずつ行うのはどうか。そうすることで、クライエントセンタード(対象者中心)で治療目的に焦点を置いたセッションができるようになります。ただ、施設側の反応が良くない場合もあるようです。

「これまで通り、大きいグループでやって欲しいと言われた……」

という話も聞きます。

施設側の反応にはさまざまな理由があるでしょう。まず、大きいグループで1回行った方が、小さいグループで何度も行うよりも効率がいい、と考える人もいるでしょう。また、施設側が「音楽療法」と「音楽レク」の違いを理解していない可能性もあります。いずれにしてもこのような場合、施設側に音楽療法について説明することが大切です。

また、もうひとつ考えられることは、施設側が求めていることがそもそも「音楽療法」ではなく「音楽レク」なのかもしれない、ということです。

私がこれまで各地の高齢者施設を訪問した際に感じたことは、レクリエーションがもっと必要だということです。認知症の人たちが、ただただリビングルームに座っている光景を見て驚きました。高齢者の機能レベルを維持し、生活の質を高めるためには、社会的な交流が必要です。

アメリカの老人ホームやデイサービスには、 “レクリエーション・セラピスト(略して「レクセラピスト」”と呼ばれる人がいます。ときには、 “アクティビティ・セラピスト”と呼ばれることもあります。彼らの仕事は、利用者へのレクリエーションを提供することです。レクセラピストは大学で学び、Certified Therapeutic Recreation Specialist(CTRS)という資格を持っています。

私はアメリカで多くの老人ホームを訪れました。高級なホームやそうでない所などいろいろありますが、レクセラピストがいないホームを見たことはありません。レクリエーションは一部の人のための「贅沢」ではなく、高齢者ケアにおいて欠かせないことだと認識されているからです。

日本の場合、レクセラピストのような人がいるケースは稀で、大抵の場合は介護職員が交代でレクを提供している所が多いと思います。しかし、人手もリソースも足りない中で充実したレクを提供するのは困難です。そのため、施設はレクリエーション活動を提供する人を探しているのだと思います。

このような状況を考えたとき、なぜ高齢者施設が「音楽療法」ではなく、「音楽レク」を求めているのか想像できます。高齢者ケアにおいて、音楽療法はレクの代わり(instead of)になるものではなく、レクに加えて(in addition to)行うものだと思います。

皆さんはどう思いますか? 高齢者ケアに携わっている方、音楽療法士の皆さん、ぜひご意見をお聞かせください。

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コメント

  1. ひーこ says

    at

    Twitterからお邪魔します。何年も前に音楽療法を勉強していたことがあり、今は特養で看護師しています。
    うちの施設には音楽療法の先生が週に1度、音楽レクリエーションも週に1度の設定で行っていました。
    現場では確かに日常の中での楽しみを求めていて、治療効果を期待する音楽療法を行うには他職種と音楽療法の先生との連携をとることが難しいと思います。
    幸いにも理解ある理事長が自ら音楽レクリエーションで、ギター片手に法人内をまわっていますし、ボランティアではなくレクリエーション担当職員も専属でバンド(理事長ギター、音大でている方のフルート、私の幼なじみの子のキーボード)を組んでいるのでお給料もでていました。
    今回のコロナウイルス対策ではレクリエーションも中止になっていて今後再開できるか未定なのですが。

    理事長ギターは、ターミナルの方のベットサイドにも出張されたりしていました。

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    • Sato Yumiko says

      at

      コメントありがとうございます。コロナの影響で利用者の方々やスタッフ、ご家族、本当に大変だと思います。色々なアイディアを出し、工夫されているようですね。くれぐれもお体に気をつけてください。

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  2. 淺野 永 says

    at

    有料老人ホームの総務、最近まで生活相談員でした。趣味で混声合唱をしています。介護施設職員の知識やレベルが低く、音楽療法までは理解していないようです。せいぜいが音楽レク程度。昨年、あまり施設にあるレクリエーション用のカラオケの品質がひどいので、最新機器を購入しようとしたら、施設長以外は、全員反対。強引に導入しましたが、定着まで半年かかりました。介護職への地道な啓発が必要だと思います。

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  3. 深津順子 says

    at

    デイサービスの施設長をしております。うちの施設では、認知症予防、改善を求めて「学習療法」を行なっています。先日由美子さんのセミナーに参加させていただいた時に今の「学習療法」と同じようだ、と感じておりました。「学習療法」についてここで詳しくお話しはできませんが、利用時間内に研修を受けた「学習療法士」が1人に対して利用者2人が20分程度行います。今流行りの単なる「脳トレ」とは全く違うものです。
    今の「音楽療法」と「学習療法」の違いは「学習療法センター」のバックアップがしっかりとあることだと感じました。センターの大元は「くもん」です。そういう意味では大きさが違うので比べてはいけないかと思いますが、しっかりと効果を宣伝して、政府にも働きかけています。施設側としては、そこにスタッフも取られ、手間もかかり、正直やめてくれ、という声も確かにあります。でも「学習療法をきちんと取り入れている施設です」と宣伝にもなるのです。
    まずは私が少しずつただみんなで歌いましょう、というスタンスとはちょっと違う「音楽」を提供していければいいと思っています。

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    • Sato Yumiko says

      at

      深津さん、先日はセミナーに参加いただきありがとうございました。「学習療法」の取り組み、興味深いです。またいろいろお話を聞かせてください。

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  4. Akiko.y says

    at

    高齢者施設で20~50人を対象にした音楽療法をしています。確かに、佐藤さんのおっしゃる通り、施設側は『音楽療法』を求めてはいないように感じます。正確には「音楽療法と音楽レクの違いを施設が理解していないのでは?」と思います。『音楽療法を』と依頼されて、始める前に音楽療法の説明をさせていただきましたが、実際には『音楽レク』に近いようなものになっていると思います。補助についてくださる職員もほとんどいない場合が多く、打ち合わせや振り返りの時間も取れません。私も少人数に分けたい旨や、振り返りの時間をお願いしたりもしましたが、まず少人数に分けるのは無理で、振り返りも片付けながら立ち話程度がやっとです。しかも、間隔をあまり開けずにセッションをとお願いしても、2ヶ月に1回がやっとという施設もあります。せっかく時間を作ってくださるのだから『しっかりした音楽療法をやりたい』と思いますが、レク自体がままならない施設ではとくに、『音楽療法』でも『音楽レク』でも、どちらでもいいのかもしれません。無償でやってくれる『音楽ボランティア』の方が需要も多いようですし、施設に負担がかからないものの方が人気みたいです。高いお金を払ってまで『音楽療法を!』と思う施設は少ないですね。

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  5. 竹田泰史 says

    at

    老人ホームもある医療法人で働く医師です。
    予算的にもマンパワー的にも当方の施設では残念ながら大したことは出来ていません。
    大きいのは提供する側の価値観の問題だと思います。音楽で「癒そう」とするのか「お遊戯」なのか…。
    私こそ将来は「癒されたい」ので、今後模索したいと思います。

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  6. かず says

    at

    国の文化が違うから、音楽に対する価値観、治療に対する価値観が違うのかなと、感じます。
    戦後から、急激に文化が変わった日本。
    アメリカ人と日本人は、違います。音楽療法がアメリカのようになるのは理想的ですが、日本人を見ていれば、難しいのかなと、思ってしまいます。音楽はボランティア扱いされてしまうことが多いのが日本の現状です。
    わたしが実施させていただく施設でも、みんな楽しそうに参加されます。が、定期的に行うことはできませんから、音楽療法にはなっていません。レクリエーションになっています。
    それでも、みなさんが、その時間を有意義に過ごされているのなら、それでいいのかと、今の現状では思うしかありません。

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