充実した人生を生きてきた人は自分の人生を振り返った時、「いい時も悪い時もあったけど、いい人生だった」と言います。人生の最期、満足感、感謝の気持ち、愛情で心が満たされるようです。同時に、困難や苦悩の日々も振り返ることもできます。
私はそういう人々に出会うと、”Kisses Sweeter Than Wine(ワインよりも甘いキス)”という曲を思い出します。 The Weavers が書いた曲で、ピーター、ポール&マリーを始めとした沢山のミュージシャンによって歌われた、夫婦の物語です。
「ラスト・ソング」の冒頭でも使用させていただいた、レモン鈴木さんの訳を紹介します。
When I was a young man and never been kissed
I got to thinking it over what I had missed.
I got me a girl, I kissed her
And then Oh Lord, I kissed her again.
Oh, kisses sweeter than wine,
私が若くまだキスの経験もなかったころ
自分の犯した過ちについて思い悩んだものだ
出会った娘にキスをしたことを
夢中になって何度もキスをしたことをワインよりも甘いキス
I asked her to marry and be my sweet wife,
And we would be so happy the rest of our lives.
I begged and I pleaded like a natural man,
And then, Oh Lord, she gave me her hand.
Oh, kisses sweeter than wine,
私は彼女に妻になってほしいと
一生大事にするからと
うぶな男のように哀願した
ああ神よ、そして娘はわたしの手を取ってくれたワインよりも甘いキス
Well we worked very hard both me and my wife
Workin’ hand-in-hand to have a good life
We had corn in the field and wheat in the bin
And then, oh lord, I was the father of twins
Oh, kisses sweeter than wine,
私は一生懸命働いた、もちろん妻も
私たちはいい暮らしを願い、土にまみれて働いた
畑にはトウモロコシや小麦がたわわに実り
私は双子の父となったワインよりも甘いキス
Our children they numbered just about four,
They all had sweethearts knockin’ at the door.
They all got married and they didn’t hesitate;
I was, Oh Lord, the grandmother of eight.
Oh, kisses sweeter than wine,
子供たちが4人になった時
彼らは恋人を連れてきた
そして皆ためらいもなく結婚した
妻も8人の孫のおばあさんになったワインよりも甘いキス
Now that we’re old, and ready to go,
We get to thinkin’ what happened a long time ago.
We had a lot of kids, trouble and pain,
But then, Oh Lord, We’d do it again.
Oh, kisses sweeter than wine
今は私たちも年老いて、そろそろお迎えがくるころだ
私たちはあの懐かしい昔の出来事を思い出す
子供達にも恵まれ、いろいろな苦労もあった
しかし生まれ変わったとしても、同じ人生を歩むだろうワインよりも甘いキス
(Words by Paul Campbell and Music by Huddie Ledbetter: 訳詩:レモン鈴木)
この曲は、日常の幸せを唄った歌です。幸せとはそういう当たり前の日々の中にあるのでしょう。最後の歌詞は、充実した人生を送った人の気持ちをよく表していると思います。人生の最期に私たちが思い出すのは、人生で何をしたかということです。つらいこともあったけれど、また同じ人生を歩みたいと言えたとしたら、それは “life well lived(素晴らしい人生)”だった、ということでしょう。
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