
皆さんは「失語症」という病気をご存じでしょうか?
私は音楽療法士の仕事を通じて、これまで多くの失語症の患者さんと接する機会がありました。でも、この病気についてよく理解していませんでした。
そのことに気づいたのは、言語聴覚士の平澤哲哉さんの講演会です。平澤さんは大学生のとき交通事故で失語症となり、その経験から言語聴覚士になった方です。現在は、山梨県を中心に在宅訪問ケアをされており、その活動はハートネットTVなどで紹介されています。
失語症は、脳卒中や頭のけがのため、脳の言語野が傷つくことによって起こります。文字を読んでも意味が分からない、思っていることを言い表す言葉が浮かばない、などの症状があります。周囲とのコミュニケーションが断ち切られ、孤立しがちです。絶望に陥ったり、引きこもったりする人が少なくありません。
ーハートネットTV「言葉のない世界で ー失語症とリハビリー」より
失語症は誤解の多い病気です。記憶障害ではないのに「認知症」と間違われたり、「会話がダメなら、筆談は?」とか「手話を覚えたら?」とか言われたりします。このような周りの対応が、失語症の人たちの回復の大きな妨げとなっているのです。


平澤さんは多くの方に失語症について知って欲しいという願いから、講演や執筆活動をされています。講演には行けないけれど失語症についてもっと知りたいという方は、平澤さんのご著書「失語症者、言語聴覚士になる」「失語症の在宅訪問ケア」をおすすめします。
ちなみに、失語症でうまく話せなかったり、字を読んだり書いたりすることができなくても、音楽を唄ったりする能力には支障がない人が多いです。そのため、音楽療法は失語症の人たちのリハビリに効果があります。音楽療法士の方にも失語症について理解を深めていただければと思います。
また、平澤さんにはポッドキャストBLISS(ブリス)で詳しくお話を伺いました。エピソードは、こちら→「失語症者、言語聴覚士になる 言葉を失った人が求めているものとは?」