バッファロー(アメリカンバイソン)に遭遇
ネブラスカの真夏の日差しから逃れるため、サウスダコタ州に来ています。昨夕、ウインドケーブ国立公園をドライブしていたところ、バッファロー(アメリカンバイソン)に遭遇しました。バッファローの群れを遠くから見たことはありますが、近くで見たのは初めてです。
車の窓を開けてビデオを撮影していると、突然バッファローが近づいてきました。食べ物をもらえると思ったのか、車内にいた愛犬むつに興味を持ったのかもしれません。むつは最初気づかず、ハエを捕まえようと必死になっていたのですが、バッファローが接近してくるとかなり驚いたようです。
バッファローダンスの神話
昔アメリカには沢山のバッファローが住んでいて、先住民族のネイティブ・アメリカン(アメリカン・インディアン)にとってとても大切な動物でした。彼らにとってバッファローは単なる食糧ではなく、洋服、靴、ティピー(テントのような住居)、道具などを作るのに必要不可欠であり、神聖な動物と考えられていました。そのため、バッファローにちなんだ歌、踊り、神話が沢山あります。
中でも私が好きなのが「バッファローダンス」と呼ばれるブラックフット族の神話です。こんな感じのお話です。
ある年、ブラックフットの人々はバッファローを狩ることができず、困っていました。そこで、ある猟師の娘はバッファローの谷に行き、懇願しました。
「お願いだから谷に降りてきて、人々の食糧になって。そうすれば、その引き換えにバッファローと結婚するわ」
こうして娘はバッファローのお嫁さんになりました。
心配した娘のお父さんは、娘を探してバッファローの谷にやってきます。すると、バッファローたちはダンスを踊り、お父さんを殺してしまいます。娘は嘆き悲しみ、バッファローの夫に言います。
「あなたは私のお父さんを殺したのよ。しかも私は捕虜でしかない」
「僕たちはどうだい? 僕らの子どもや、お父さん、お母さん、妻や夫が殺されているんだ。なのに君は、お父さんのことで泣いている」
バッファローの夫はそう言って、娘に語り続けます。
「でも、もし君がお父さんを生き返らせることができたら、自由にしてあげてもいい」
娘はカササギにお願いして、お父さんの骨の一部を持ってきてもらいます。そして、骨を地面に置き、その上に毛布をかけ、優しく歌を唄いました。その歌は、死者を生き返らせる力のある歌で、お婆さんに教えてもらった歌でした。
しばらく唄った後、毛布の下をのぞくと、お父さんの体がありました。でも、お父さんは呼吸をしていません。死んだときと同じように冷たいままです。娘はさらに静かに歌い続けました。すると、お父さんが息を吹き返したのです。それを見たバッファローの夫は、娘に言いました。
「これから僕たちを殺した後は、必ずこの歌を唄ってくれない? バッファローの踊りを君たちに教えてあげるよ。狩りの前にそのダンスを踊れば、僕たちを狩ることができるようになるさ。そしてその後、この歌を唄ってくれれば、僕たちはまた生き返ることができる」
この神話は、バッファローへの敬意を表す伝説です。人間にとって神聖な動物だけど、殺さなければ生きていけない。その複雑な関係性を、この神話は美しく表現しています。ネイディブアメリカンのスピリチュアリティーからは学ぶことが多いと思います。
そして、彼らにとって歌やダンスは単なる娯楽ではなく、深い意味があることもこの神話からわかります。
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