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佐藤由美子の音楽療法日記

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Home » ホスピスと緩和ケア » 倫理と権利 » 「免疫療法」について知らなかったこと

「免疫療法」について知らなかったこと

免疫療法

目次 hide
1 免疫療法とは?
2 免疫チェックポイント阻害剤と免疫細胞療法の違い
3 インチキ「免疫細胞療法」は非人道的
4 医の倫理について

免疫療法とは?

本庶佑教授のノーベル賞受賞が決まってから、がんの「免疫療法」の話題を目にすることが多くなりましたが、そもそもがんの「免疫療法」って何なのでしょうか?

アメリカでも最近、 “Immunotherapy”が話題になっています。日本語に訳すと「免疫療法」となるので、このふたつが同じものなのかずっと気になっていました。

そこで先日、腫瘍内科医の勝俣範之先生にインタビューした際、この件について伺いました。

免疫療法の中には、きちんとしたエビデンスがあって承認されているものと、そうでないものがあります。

~ 勝俣範之医師(BLISSインタビューより)

免疫チェックポイント阻害剤と免疫細胞療法の違い

勝俣先生の話によれば、免疫チェックポイント阻害剤というのが、海外で話題になっている”Immunotherapy”のことで、承認されている免疫療法だそうです。そしてこれが、本庶教授の発見をもとに開発されたものです。

一方で、免疫細胞療法というのは承認されていないインチキなものらしいです。

とてもややこしいですね。一般の人が混乱するのも無理はないと思います。それをいいことに、インチキながん治療を行っている医療者が国内には沢山います。

インチキ「免疫細胞療法」は非人道的

数年前、友人が30代でがんで亡くなりました。彼女は信頼できる医師に出会うことができず、最後はこの「免疫細胞療法」を受けていたのです。最近彼女の家族と話す機会があり、そのことを知りました。

友人は「免疫細胞療法」を受けるため、地方からわざわざ東京まで出てきていました。治療にはとてもお金がかかったそうです。限られた時間とお金を根拠ない治療に費やした後、彼女は亡くなりました。

友人が闘病中、私は「何かおかしいな」と思いましたが、彼女には何も言いませんでした。国内のがん治療の現状を知らなかったためです。まさかこのようなインチキ医療が普通に行われているとは……。

この件について、本庶さんはこう言います。

(科学的に裏付けのないがん免疫療法を)お金もうけに使うのは非人道的だ。わらにもすがる思いの患者に証拠のない治療を提供するのは問題だ。

~ 本庶佑教授(朝日新聞より)

本庶さんのノーベル賞を機に、がん治療に関する正しい知識が広まることを願わずにはいられません。

 

*****

 

医の倫理について

上記の記事がハフィントンポストに掲載された後、「免疫細胞療法のエビデンスは確立されていないけど、患者さんにそれを提供することに問題はない」というコメントが届きました。

皆さんの中にもそう感じている人がいるかもしれません。実際日本ではこのような根拠ない治療が普通に行われていますので、「一体何がいけないの?」と思う人もいるでしょう。

驚くかもしれませんが、アメリカではこのような未承認の医療を医師がすることは、とても厳しく規制されています。そのため、医師が科学的な根拠のない治療を高額で提供している、などという話は聞いたことがありません。もしそのようなことをした場合、訴えられるでしょうし、医師免許を失うことになると思います。なぜでしょうか?

その答えは「医療倫理」にあります。この件についてわかりやすく説明された記事を見つけました。

医の倫理では、有効性や安全性が確認されていない治療は「臨床研究」として実施すべきであり、「被験者」として研究に協力してくれる患者からは費用は取らないで、研究費からまかなうべきだとされています。むしろ治験では、患者に日当や交通費に相当する謝礼が支払われます。にもかかわらず、免疫細胞療法を行っているクリニックは、本来なら臨床研究として行うべき治療を、患者から非常に高額なお金を取って行っているのです。だから、真っ当ながんの専門医たちは、「そんな治療で患者からお金を取るなんて許せない」と批判しているのです。

~「文集オンライ」より

承認されていない治療を行う場合、臨床研究として実施されるべきなのです。アメリカでは臨床研究においても「倫理」が非常に厳しいです。「自由」を重んじるアメリカ人は政府の規制が嫌いですが、医療に関しては日本よりかなり厳しく規制されています。その理由は、患者さんを守るためです。

本来医療とは患者さんのためにあるものですので、ペイシャント・センタード・ケア(患者さん中心のケア )が求められます。そのためにはまず「医療倫理」を見直す必要があると思います。

【関連記事】

患者さんの希望のために 腫瘍内科医、勝俣範之氏インタビュー

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